はじめに
COPDは完治しない疾患ですが、適切な薬物療法により症状の緩和と急性増悪の予防が可能です。本記事では、COPDの治療薬について新人看護師にもわかりやすく解説します。吸入デバイスの特徴や指導ポイントも押さえておきましょう。
COPD治療の基本方針
- 禁煙が最も重要な治療であり、唯一肺機能の低下を遅らせることができる
- 薬物療法は症状緩和・急性増悪予防・QOL改善が目的
- 完治はしないが、適切な治療により進行を遅らせることができる
- 重症度(GOLD分類)に応じてステップアップしていく
気管支拡張薬(主役)
COPD治療の中心は気管支拡張薬です。長時間作用型が基本となります。
LAMA(長時間作用型抗コリン薬)
COPDに最も有効とされる薬剤群。気道平滑筋のムスカリン受容体をブロックして気管支を拡張します。
| 薬品名 | 商品名 | 使用回数 |
|---|---|---|
| チオトロピウム | スピリーバ | 1日1回 |
| グリコピロニウム | シーブリ | 1日1回 |
| ウメクリジニウム | エンクラッセ | 1日1回 |
LABA(長時間作用型β2刺激薬)
β2受容体を刺激して気管支を拡張します。単独よりもLAMAとの併用で効果が増します。
| 薬品名 | 商品名 | 使用回数 |
|---|---|---|
| インダカテロール | オンブレス | 1日1回 |
| オロダテロール | ストリベルジ(配合剤の成分) | 1日1回 |
LAMA/LABA配合剤
両薬の相乗効果により、単剤よりも高い気管支拡張効果が得られます。
| 商品名 | 成分 |
|---|---|
| アノーロ | ウメクリジニウム+ビランテロール |
| スピオルト | チオトロピウム+オロダテロール |
| ウルティブロ | グリコピロニウム+インダカテロール |
ICS(吸入ステロイド)の適応
- COPD単独には原則推奨されない(感染リスクが増加するため)
- 喘息合併例(ACO:喘息COPD重複症候群)や好酸球性COPDに使用を検討
- ICS/LABA配合剤:アドエア(フルチカゾン+サルメテロール)、レルベア(フルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロール)など
- ICS/LAMA/LABA三剤配合:テリルジー(最重症例に使用)
増悪時の治療
急性増悪時は速やかな対応が必要です。
- SABA(短時間作用型β2刺激薬):サルブタモール(サルタノール)・ネブライザーで吸入
- 全身性ステロイド:プレドニゾロン 30〜40mg を5日間程度
- 抗菌薬:細菌感染が疑われる場合(膿性痰・白血球増加・CRP上昇)に使用
- ネブライザー療法:SABA・SAMA(イプラトロピウム)の吸入
- 酸素療法:SpO2 88〜92%を目標(CO2ナルコーシスに注意)
在宅酸素療法(HOT)
重症COPD患者の生命予後を改善する重要な治療法です。
- 適応:PaO2≦55mmHg、またはSpO2≦88%(安静時)
- 1日15時間以上の使用で生命予後が改善する
- 酸素は「薬」であり、処方量を守ることが重要
- 在宅での管理方法・緊急時対応を患者・家族に指導する
看護師として押さえておきたいポイント
- 吸入デバイスの使用指導:LAMAは粉末吸入(DPI)が多い。吸気力が弱い重症患者にはpMDI(定量噴霧式)が向く場合がある
- 吸入手技の確認:毎回の外来・入院で手技を確認し、誤った使い方を修正する
- 禁煙継続の支援:バレニクリン(チャンピックス)・ニコチン補充療法の情報提供
- 低酸素への対応:HOT患者の在宅管理・緊急時の酸素量調整に注意
- CO2ナルコーシスの知識:増悪時に高濃度酸素を投与すると意識障害が起きることがある
まとめ
- COPD薬物療法の主役はLAMA・LABAなどの長時間作用型気管支拡張薬
- LAMAとLABAの配合剤は単剤よりも効果が高い
- ICS(吸入ステロイド)はCOPD単独には原則不要
- 急性増悪時はSABA・全身ステロイド・抗菌薬が基本
- 重症例には在宅酸素療法(HOT)が生命予後を改善する
- 吸入デバイスの正しい使用指導が看護師の重要な役割
- 禁煙が最も重要な治療であることを患者に繰り返し伝える
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