はじめに
肺炎は日本人の死因上位に入る重大な疾患です。新人看護師にとって、肺炎患者の観察や看護は日常的な業務のひとつ。本記事では、肺炎の種類・症状・重症度評価まで基礎からわかりやすく解説します。誤嚥性肺炎など高齢者に多い肺炎についても詳しく触れます。
肺炎とは
肺炎とは、肺の実質(肺胞・間質)に炎症が起きる疾患です。細菌・ウイルス・真菌などの病原体や、誤嚥した内容物が原因で炎症が生じます。肺胞に滲出液がたまることでガス交換障害が起き、低酸素血症を引き起こします。
分類
発症場所・状況による分類
| 分類 | 定義 | 特徴・主な原因菌 |
|---|---|---|
| 市中肺炎(CAP) | 病院外で発症 | 肺炎球菌・マイコプラズマが多い |
| 院内肺炎(HAP) | 入院48時間以降に発症 | 耐性菌(MRSA・緑膿菌など)が多い |
| 医療介護関連肺炎(NHCAP) | 介護施設・定期通院中に発症 | 高齢者・誤嚥性肺炎が多い |
| 誤嚥性肺炎 | 誤嚥が原因で発症 | 高齢者に多い・嫌気性菌 |
原因微生物
細菌性
- 肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae):市中肺炎の最多原因菌
- インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae):COPD患者に多い
- 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus):MRSA含む・重症化しやすい
非定型肺炎
- マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae):若年者に多い・乾性咳嗽が特徴
- クラミジア(Chlamydia pneumoniae):高齢者にも多い
- レジオネラ(Legionella pneumophila):冷却塔・温泉などが感染源・重症化しやすい
ウイルス性
- インフルエンザウイルス・RSウイルス・COVID-19など
- 抗菌薬は無効(抗ウイルス薬を使用)
主な症状
- 発熱:38度以上の高熱が典型的
- 咳・膿性痰:黄色〜緑色の痰が出ることが多い
- 呼吸困難・SpO2低下:重症化すると呼吸不全に至る
- 胸痛:胸膜炎を合併した場合に出現
- 高齢者の非典型的症状に注意:発熱しないことがある。食欲低下・意識障害・活動量低下が肺炎のサインのことも
重症度評価(A-DROPスコア)
日本呼吸器学会が推奨する市中肺炎の重症度評価スコアです。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| A(Age:年齢) | 男性70歳以上、女性75歳以上 |
| D(Dehydration:脱水) | BUN 21mg/dL以上 |
| R(Respiration:呼吸) | SpO2≦90%またはPaO2≦60mmHg |
| O(Orientation:意識) | 意識障害あり |
| P(Pressure:血圧) | 収縮期血圧90mmHg以下 |
- 0点:外来治療を検討
- 1〜2点:入院治療を考慮
- 3点以上:重症(ICU入室を考慮)
誤嚥性肺炎
高齢化社会において最も重要な肺炎のひとつです。
- 対象:高齢者・脳卒中後遺症・パーキンソン病・認知症・嚥下障害患者
- メカニズム:口腔内細菌(嫌気性菌含む)が誤嚥により肺に入り炎症を起こす
- 特徴:発熱が軽微なことがあり、食事中・食後の咳、繰り返す肺炎に注意
- 予防:口腔ケア(細菌数を減らす)・食事姿勢(30〜45度以上の体位)・嚥下訓練・口腔体操
看護師として押さえておきたいポイント
- バイタルサインの継続的な観察:SpO2・呼吸数・脈拍・体温の変化に注意する
- 痰の喀出援助:体位ドレナージ・タッピング・吸引により痰の排出を促す
- 誤嚥予防:食事姿勢の確認(ベッドアップ・枕の高さ)・食後の口腔ケア・水分のとろみ調整
- 高齢者の非典型的症状を見逃さない:「なんとなく元気がない」「食欲がない」でも肺炎を疑う
- 感染対策:院内肺炎予防のため手洗い・標準予防策の徹底
まとめ
- 肺炎は肺実質の炎症であり、日本人の死因上位の重大疾患
- CAP・HAP・NHCAP・誤嚥性肺炎と発症状況で分類される
- 原因菌により治療方針が異なる(細菌・非定型・ウイルス)
- A-DROPスコアで重症度を評価し、治療場所を決定する
- 高齢者では典型的な発熱・咳がない場合があるため注意が必要
- 誤嚥性肺炎の予防に口腔ケアと食事姿勢管理が重要
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