前の記事では気管支喘息がどんな病気かを解説しました。この記事では、喘息の治療に使われる薬についてわかりやすく説明します。
▶ 疾患の解説は気管支喘息ってどんな病気?基礎からわかりやすく解説をご覧ください。
喘息治療の基本的な考え方
喘息の治療薬は大きく2種類に分かれます。
| 種類 | 目的 | 使うタイミング |
|---|---|---|
| 長期管理薬(コントローラー) | 炎症を抑えて発作を予防する | 毎日継続して使う |
| 発作治療薬(リリーバー) | 気道を広げて発作を止める | 発作が起きたときに使う |
重要なポイント:「症状がないから薬をやめる」は危険です。症状がなくても気道の炎症は続いているため、長期管理薬は毎日続けることが大切です。
長期管理薬(コントローラー)の種類
① 吸入ステロイド薬(ICS)— 喘息治療の柱
喘息治療でもっとも重要な薬です。気道の炎症を直接抑えます。
| 薬品名 | 商品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| フルチカゾン | フルタイド | 広く使われる標準薬 |
| ブデソニド | パルミコート | ネブライザーでも使用可 |
| ベクロメタゾン | キュバール | 微粒子で末梢気道まで届く |
| シクレソニド | オルベスコ | 1日1回でOK、副作用が少ない |
注意点:吸入後は必ずうがいをする(口腔カンジダ症の予防)
② 長時間作用型β2刺激薬(LABA)
気道を広げる効果が12〜24時間続きます。ICSと組み合わせて使います。
- サルメテロール(セレベント)
- ホルモテロール(オーキシス)
- インダカテロール(オンブレス)
⚠️ LABAはICSとの併用が必須です。単独使用は禁忌とされています。
③ ICS/LABA 配合剤(よく使われる)
ICSとLABAを1本にまとめた吸入薬。患者さんの負担が少なく、アドヒアランス向上に役立ちます。
| 商品名 | 成分 | 使用回数 |
|---|---|---|
| アドエア | フルチカゾン+サルメテロール | 1日2回 |
| シムビコート | ブデソニド+ホルモテロール | 1日2回(SMART療法にも使用) |
| フルティフォーム | フルチカゾン+ホルモテロール | 1日2回 |
| レルベア | フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロール | 1日1回 |
④ ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
飲み薬です。気道の炎症・収縮を引き起こすロイコトリエンをブロックします。アレルギー性鼻炎を合併している患者さんに特に有効です。
- モンテルカスト(シングレア、キプレス)— 1日1回就寝前
- プランルカスト(オノン)— 1日2回
⑤ 生物学的製剤(重症喘息に使用)
通常の治療で効果不十分な重症喘息に使います。
| 薬品名 | 商品名 | 標的 |
|---|---|---|
| オマリズマブ | ゾレア | IgE(アレルギー型に有効) |
| メポリズマブ | ヌーカラ | IL-5(好酸球性喘息) |
| デュピルマブ | デュピクセント | IL-4/IL-13 |
発作治療薬(リリーバー)の種類
① 短時間作用型β2刺激薬(SABA)— 発作の第一選択
吸入後5〜15分で効果が出ます。発作時の「お守り」的な薬です。
- サルブタモール(サルタノール、ベネトリン)
- プロカテロール(メプチン)
- フェノテロール(ベロテック)
⚠️ SABAの使用頻度が増えてきたら、コントロールが悪化しているサインです。医師への報告が必要です。
② アミノフィリン(テオフィリン)静注
重篤な発作時に点滴で使用します。気管支を広げる効果があります。
注意:治療域が狭い薬です。血中濃度が高くなると、頻脈・嘔吐・けいれんなどの副作用が出ます。
③ 全身性ステロイド薬
中〜大発作時に短期間使用します。
- プレドニゾロン(飲み薬)
- ヒドロコルチゾン・メチルプレドニゾロン(点滴)
吸入デバイスの種類と特徴
吸入薬は正しく使わないと効果が出ません。デバイスの特徴を把握しておきましょう。
| デバイス | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| pMDI(加圧定量噴霧式) | 噴霧に合わせて吸う技術が必要 | 吸入操作を習得できる人 |
| DPI(ドライパウダー式) | 自分の力で素早く吸い込む | 吸気力がある人 |
| ネブライザー | 自然に呼吸するだけでOK | 高齢者・小児・重篤な発作時 |
看護師として押さえておきたいポイント
- 吸入薬は正しいデバイス操作が効果の鍵。患者指導を丁寧に行う
- ICS吸入後は必ずうがいをするよう指導する
- SABA使用頻度が増えたら主治医へ報告する
- アスピリン喘息の患者にはNSAIDsを使わない
- β遮断薬(目薬含む)は喘息を悪化させる可能性がある
まとめ
- 喘息の薬はコントローラー(毎日使う)とリリーバー(発作時)に分かれる
- ICS(吸入ステロイド)が治療の柱。症状がなくても続けることが大切
- ICS/LABA配合剤が使いやすくアドヒアランスが高い
- 発作時はSABAが第一選択。重症ならステロイド静注・アミノフィリン
- 吸入指導は看護師の重要な役割
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