はじめに
胸膜炎・胸水の治療は「原因疾患の治療」が最優先です。それと並行して、呼吸困難が強い場合には胸水を穿刺・ドレナージして症状を緩和します。利尿薬・抗菌薬・抗腫瘍薬など、原因に応じた薬物療法が行われます。
治療の基本的な考え方
原因疾患の治療が最優先。胸水は症状緩和のため穿刺・ドレナージを行うことがありますが、原因を取り除かなければ再貯留します。
漏出性胸水の治療(利尿薬が中心)
| 薬品名 | 商品名 | 目的・特徴 |
|---|---|---|
| フロセミド | ラシックス | ループ利尿薬。強力な利尿効果。電解質(K)低下に注意 |
| スピロノラクトン | アルダクトン | K保持性利尿薬。低K血症の予防。フロセミドと併用が多い |
| トルバプタン | サムスカ | バソプレシン受容体拮抗薬。心不全の胸水・腹水に有効 |
| アルブミン製剤 | アルブミン | 低アルブミン血症の補正。膠質浸透圧を回復させる |
滲出性胸水の治療(原因別)
肺炎随伴胸水・膿胸
- 抗菌薬による感染治療(原因菌に応じた選択)
- 胸腔ドレナージ(膿性胸水・大量の場合)
- 繊維素溶解薬の胸腔内注入(胸腔内の癒着・隔壁形成に対して)
結核性胸膜炎
- 抗結核薬(INH・RFP・PZA・EB)による6〜9ヶ月の治療
- ステロイドの短期使用(胸水の早期吸収・癒着防止目的)
がん性胸水
- 化学療法・分子標的薬などの抗腫瘍治療
- 胸膜癒着術:タルクやOK-432(ピシバニール)を胸腔内に注入し再発を防ぐ
- 症状緩和のための繰り返しの穿刺
膠原病(関節リウマチ・SLEなど)
- ステロイド・免疫抑制薬による原疾患の治療
胸腔穿刺・ドレナージ
- 主に呼吸困難の症状緩和を目的として行う
- 一度に大量排液すると再膨張性肺水腫の危険がある(1回の排液量は1000〜1500mL以内が目安)
- 穿刺後の合併症に注意:気胸・出血・感染
鎮痛・対症療法
- 胸膜炎による胸痛にはNSAIDs(ロキソプロフェンなど)・アセトアミノフェンを使用
- 咳嗽が強い場合は鎮咳薬を検討
看護師として押さえておきたいポイント
- 胸水穿刺中・後のバイタルサイン監視:血圧・SpO2・呼吸状態を継続的に観察
- 穿刺部位の感染徴候(発赤・腫脹・疼痛・排膿)を毎日確認
- 利尿薬使用時の電解質管理(低K血症・低Na血症)と尿量確認
- 体位の工夫:呼吸が楽な姿勢(ファウラー位・患側臥位)を促す
- 大量排液後は咳嗽・呼吸困難が増悪していないか(再膨張性肺水腫)を確認する
まとめ
- 胸膜炎・胸水の治療は原因疾患の同定と治療が最優先
- 漏出性胸水:利尿薬(フロセミド・スピロノラクトンなど)が中心
- 滲出性胸水:原因(肺炎・結核・がん・膠原病)に応じた治療を選択
- 大量胸水の穿刺は一度に1000〜1500mL以内が安全
- 看護師は穿刺処置のサポート・合併症観察・電解質管理・体位指導が重要
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