はじめに
気胸の治療は、虚脱の程度・症状の有無・基礎疾患・再発かどうかによって大きく異なります。軽症であれば経過観察で回復しますが、中等症以上では胸腔ドレナージが必要です。また再発予防のための患者指導も重要な看護の役割です。
治療方針の選択
虚脱の程度・症状・基礎疾患・再発かどうかを総合的に判断して治療方針を決定します。
保存療法(軽症)
- 安静・経過観察:気胸量が少なく症状が軽い場合、自然吸収を待つ
- 高濃度酸素投与:酸素濃度を上げることで胸腔内の窒素が拡散され、気胸の吸収が促進される
胸腔穿刺・脱気
- 注射器や脱気用キットで胸腔内の空気を吸引する
- 少量の気胸や緊急時(緊張性気胸)に有効
- 穿刺部位:第2肋間鎖骨中線上または第4〜5肋間腋窩前線上
胸腔ドレナージ
ドレーンを胸腔に留置し、空気を持続的に排出する方法。中等症以上の気胸の標準治療。
水封式ドレナージ管理のポイント
- 水封部の水位変動確認:呼吸に伴い水面が動く(fluctuation)→ 正常
- エアリーク(気泡)の確認:咳嗽時の気泡 → 漏れあり。持続的な気泡 → 大きな漏れ
- ドレーンの屈曲・閉塞確認:定期的に確認し、排液が滞らないようにする
- 挿入部の感染徴候:発赤・腫脹・排膿がないか確認
- ドレーンが引っ張られていないか・接続が外れていないか確認
外科的治療(再発例・続発性)
- 胸腔鏡手術(VATS):ブラ(気腫性嚢胞)の切除・胸膜癒着術。低侵襲で回復が早い
- 開胸手術:重症例・VATS困難例
- 胸膜癒着術:タルクや薬剤で胸膜を癒着させ再発を防ぐ
薬物療法(対症療法)
| 目的 | 薬品名 | 商品名 |
|---|---|---|
| 軽〜中等度の鎮痛 | アセトアミノフェン | カロナール |
| 中等度の鎮痛・抗炎症 | NSAIDs(ロキソプロフェンなど) | ロキソニンなど |
| 強い鎮痛(重症例) | オピオイド | モルヒネなど |
再発予防のための患者指導
- 禁煙:喫煙は再発リスクを大幅に高める。禁煙指導は必須
- 激しい運動・重い荷物を持つことは当面避ける
- 飛行機搭乗:気圧変化により再発のリスクがあるため、医師の許可を得るまで避ける
- 症状が再発した場合(胸痛・呼吸困難)はすぐに受診するよう説明する
看護師として押さえておきたいポイント(ドレーン管理)
- ドレーン接続部の緩み・外れに細心の注意を払う
- 排液の性状(血性・漿液性)・量を正確に記録する
- 患者がドレーンを引っ張ったり寝返りで圧迫しないよう説明する
- ドレーン抜去後も数時間は呼吸状態・SpO2を観察する
まとめ
- 気胸の治療は虚脱の程度によって安静・脱気・ドレナージ・手術と段階的に選択される
- 高濃度酸素投与は軽症気胸の吸収を促進する補助療法
- 胸腔ドレーン管理では水封・エアリーク・接続部の確認が最も重要
- 再発予防には禁煙指導と生活指導が欠かせない
- 看護師はドレーン管理・患者指導・再発症状の早期認識において中心的な役割を担う
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